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白ヒゲの言いたい放題No.51「医療メディアに望む」

コラム
2023.11.08

先日、災害拠点病院の3割が洪水浸水想定区域にあるとの報道があった。私はもっと多いと思っている。これを問題にしたのは多分、久留米市の田主丸中央病院が床上浸水し、診療休止に追い込まれた事などを契機に警鐘を鳴らす積もりなのであろう。この病院の鬼塚一郎先生は、当NPOの会員であり、地域医療の中核病院として質・量とも立派な医療を実行している方である。奥様も医師で昨年の日本医療マネジメント学会(神戸)では御一緒だった。今回、水害の2日前である7月7日(金)、8日(土)に大手町サンケイプラザで行われた第9回地域包括ケア病棟研究大会の会長をされ、盛会裡に終了したすぐ後の被害であった。駅の待合室でのTVニュースで報道されていた。横に座っていた方が「災害拠点病院が災害ではいかんなぁ。」と言っていた。それはよく解るが事情はそんな簡単ではない。この国の地形は山と海、山から河川が土砂を運び狭い平地が出来、そこで米を作って人が住み、人口が増えた所に病院が出来たのである。山や丘の上にあるのは精神科病院や結核療養所など、ごく一部で極めて少ない。それを一般市民なら仕方ないが、プロの医療メディアが、ど素人と同じ記事を書くのだから呆れ返る。
医療事故の報道などは、本当に腹立たしい。例えば、患者さんの勘違いで訴え、病院全面勝訴などの最終結果は全く取り上げない。一方で、初めの訴える時は大々的に取り上げる。余りにも不公正である。また、訴訟費用だけは病院持ちという、殆ど医療側に落ち度がない時にも「患者一部勝訴」と。本当にどうなっているのか?私が全国自治体病院協議会の会長を仰せつかっていた時には、医療裁判は訴訟にならない事がベストだが、どうにもならない時は、きちんと職員や病院を守る為に、納得出来る判決が出ないなら最高裁まで、と主張し会員病院や開設者にもお願いしていた。しかし、開設者は選挙を気にしてすぐに手打ちをチラつかせ、また、地方議員の中には自治体からお金を取ってやるからと、訴訟をそそのかす人も居る様である。現に私も経験した。医学・医療は100%の学問、行為ではない。
COMLの創始者である辻本好子氏や継承者の山口育子氏が唱える様に、患者さんとの共同作業で成り立つという事をメディアはしっかり捉え、発信して頂きたい。若いドクターやナースの芽を摘む事は、是非避けて欲しいものである。

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