コラム 『白ヒゲの言いたい放題』

No.19 士別での「第2回地域交流会」を終えて

今世界中が新型コロナウィルス感染症(COVID−19)で揺れている。この星全体がワンチームになり切り抜けなければならない。間一髪のタイミングのニャンニャンニャンニャンニャン、つまり令和2年2月22日(土)午後2時から長島仁士別市立病院長のお世話で「第2回地域交流会」が開催された。
小生が基調講演をさせていただき、医師の偏在対策なくして働き方改革や地域医療構想との三位一体改革などは無茶ぶりで地方切り捨てと主張した。名寄市立総合病院長の和泉先生と市立稚内病院長の國枝先生が道北の医療の現状をプレゼンされ、名寄市立大学学長・北海道医師会副会長・北海道地域医療構想アドバイザー・名寄市立総合病院名誉院長の佐古先生が補足と道の対策を示された。三浦市立病院長の小澤先生と八幡平市病院事業管理者で全国自治体病院協議会副会長の望月先生は、それぞれの地域の現状や対策を述べられた。
その後、この会の目的である多業種、多職種、老若男女によるパネルディスカッションに移った。老健の長尾先生からは人材不足や医療介護連携について。商工会議所会頭で市立病院応援隊代表、自らも介護施設を運営されている鈴木代表からは医療を中心としたまちづくり活性化のお話。子育てをしながら農業に取り組み、トマトジュースがJALのファーストクラスに採用されている有機農産物生産加工の女性経営者谷さんは医療やこの地に嫁いでからの思い入れを語られた。士別市奨学金貸付の旭川医大2年上総君は医師を目指した動機や地域医療への抱負と不安を述べていた。
日本最北の製糖工場である日本甜菜製糖所長の前田氏は従業員や家族に対する医療体制の要望を、トヨタ自動車冬季試験部長の堀之内氏は冬の期間約2万人となる試験隊への安心のための市立病院について。士別軌道社長の井口氏からはJRを補うバス路線の維持、特に乗客減と高齢者の通院について、同じく士別ハイヤーの稲毛常務も士別・名寄の連携のための福祉ハイヤーの現状を述べられた。
地元にある2つの高校の1つ道立士別翔雲高校長の吉野先生からは教育現場と地域医療の話。特に期末テスト直後にも係わらず自校の生徒が2名参加していることを誇りにしていると述べられた。こんな校長の生徒は幸せだろうと感じ、交流会でお話したかったが直ぐに勤務に戻られたのか見失った。またの機会にと思っている。この3年生と1年生の男女高校生は士別市立病院内科の岩野先生のお子さんで、転勤してからの士別での生活や将来の夢の一端を話してくれ、我々年寄りに希望を与えてくれた。
上川北部医師会長の坂田先生からは病診連携や救急医療など医師会としても頑張っておられる現状を、また内科クリニック院長の井手先生からは紹介・逆紹介や専門外の病気の方への対応などの実情が話された。長島院長によると井手先生は患者紹介最多のドクターであるらしい。首長さんも2人。和寒町の奥山町長からは医師確保の難しさと旭川市との距離感から経営の難しさ、医療提供の課題を述べていただいた。士別市の牧野市長からは、この会で色々とディスカッションされたことを糧にして地域医療の確保に邁進するとの心強い決意表明があった。
最後の総括は全国自治体病院協議会の小熊先生。やはり医師の教育、キャリアアップは当然必要ではあるが、その前に医師の偏在を解消すべき、つまり厚労省からやっと出た必要医師数を充足すべきと。北海道の市立病院長として、また全国各地の病院や医療の現状を最もご存知の先生からの言葉は参加者にもやはり重く響いたようである。札幌から駆け付けていただいた診療所開業の先生が「ああいう先生やこの会に出席している方々がいる限り、この国は明るい」と言われたとか。翌日の機内でそれを聞き少し嬉しく、そうなることを願って帰路についた。
士別市の皆様、LMC役職員の皆様、本当にご苦労様でした。ありがとうございました。来年は三浦市でお会いしましょう!!

 

 

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