コラム 『白ヒゲの言いたい放題』

No.31 ワクチン敗戦、デジタル不参加の教訓

今回のワクチン狂騒曲というかドタバタ劇を見ていると、誰の眼にも明らかにこの国の落ちぶれた様子が白日の下に晒された。かく言う私自身もIT音痴であり大きな顔は出来ないが、毎晩のように馬鹿番組ばかりテレビで見ているうちに、故大宅壮一氏が予言した「一億総白痴化社会」が現実のものとなっていたのである。
お隣の南朝鮮や台湾などのデジタル先進国には周回遅れ、トップグループの米中両国はその後ろ姿さえ見えない感じである。地球上に独立国は200近くあると承知しているが、日本のワクチン接種率が150番目位と報じられているのを見てみると、我が国の前後に並ぶ国には知らない名前の国が多かった。後進国の中にはワクチン外交で攻勢に出ている中国製を使用して順位を上げている国が多いとしても、この順位は酷すぎる。
欧米のメーカーは白人優先、黄色人種が多数の我が国にはなかなか廻ってこない、というのが現実であろう。マスクやガウン、手袋などのPPE、アルコール、セファゾリンなどの薬品、そして今回のワクチンや半導体などは世界分業制の流れに乗った我が国の低賃金国への生産移転が完全に裏目に出たのであろう。
国立大学の運営交付金を毎年逓減、私学への助成金も減額。そのため研究や教育はすぐに結果の出る実学重視を続けていた。ただでさえHPVワクチン問題などでワクチンアレルギーの強い我が国でリスクを取る研究者や製薬会社は極めて少ないのである。国産ワクチンが進む筈もないのである。
デジタル庁を泥縄で作るそうだが、まず一丁目一番地は電子カルテの統一であろう。研修医や若手医師も研修施設を移るたびに変わるカルテに苦労している。コロナで応援に行く医師や看護師が感染防止以外に部分に気を遣う現実は、後進国の極みである。そろそろ拝金主義、効率主義の高度成長時代の幻から目覚め、令和維新的に教育・研究と医療・福祉での国家戦略を立てるべきである。これでなら米中に追いつき、勝てる望みがある分野である。

 

 

 

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